なぜGoogleの検索結果は「内容が薄い」と感じるのか【日本語記事分析編】
本記事は『なぜGoogleの検索結果は「内容が薄い」と感じるのか』を三部構成で考察しているうちの「日本語記事分析編」です。
なぜ「内容が薄いのか」の結論としては、「日本語ユーザーが内容の薄い情報を求めているから」です。
本記事では、『日本語ユーザーが内容の薄い情報を求めている』と判断した根拠である日本語記事の分析結果を紹介します。
そのほかの2部は下記リンクよりどうぞ。
- 分析まとめ編
- 英語記事分析編(執筆中)
日英の内容比較
以下は日本語と英語記事での特徴を比較した表です。
日本語記事 | 英語記事 | |
---|---|---|
特徴 | 求める情報の結論だけ簡潔に提供する | 結論に至るまでの理由や判断基準を細かく説明し、ニーズに応じた複数の結論を根拠と共に提供する |
注意点 | 結論に至った根拠や背景の情報が乏しいため、自分で判断する材料としては不向き | 結論だけ知りたい」「サクッと検索したい」人にとっては読みにくいことも |
以下の内容は、表に書いてある特徴を導き出すために行った分析となりますので、ぜひ表の太字部分は頭の片隅においたまま読み進めてください。
比較の仕方
対象
日本語は検索結果1位サイトで、英語は検索結果2位のサイトです(1位はTweetDeckというツイッター管理ツールの公式サイトでした)。
どちらのサイトも「おすすめのツイッター管理ツールを紹介する記事」です。
方法
- 記事の構成(見出し)を比較することで大まかな特徴を把握
- 実際に読んでみて感じた特徴を箇条書きで記載
「文章の内容は見出しで決まる」といっても過言ではないくらい、見出しに注目すると、何が書いてあるかの大枠は理解できます。
あとは実際に記事の内容を読んでみて感じた特徴を記載します。ここは構成の比較と違って、読み手によってかなり受け取り方にバラつきが出るところです。
日本記事の構造
- 前置き(挨拶)
- おすすめツール紹介
- ツール使用におけるメリットデメリット
- ツールの選定ポイント
- まとめ(挨拶)
特徴①メインコンテンツが上位に来ている
対象記事のメインコンテンツは「おすすめツール紹介」です。
メインコンテンツが挨拶の後にきているのは一見ふつうに感じますが、その下の見出しを注目してください。
- ツール使用におけるメリットデメリット
- ツールの選定ポイント
「ツールを使う上でのメリットデメリット」と、「ツールの選定ポイント」がツール紹介の後なんです。
この順番、私はとても不自然に感じました。
「ツールの選定ポイント」や「ツールを使うことのメリットデメリット」は、ツールを選ぶための判断材料です。つまり前提知識です。
前提知識であるはずのことをツールを紹介してから説明するのは、ユーザにとって不親切だと感じました。
不親切でもメインコンテンツを上に持ってきたい理由は、高確率で「メインコンテンツである『おすすめツール紹介』をユーザーがページを離脱する前に見てほしいから」です。
これは非常に戦略的な方法です。
答えだけを知りたい人にとっては、前提知識などはどうでもいいのです。
また基本的に、ユーザーはページの下に行けば行くほどそのサイトから離脱します。
離脱する前に相手が求めている答えを提供し、満足してもらうためにこの不自然な順番になっているのです。
これは比較した英語記事にはないことで、日本語ユーザーがいかに答えだけを求めているかを表している特徴と言えます。
特徴②潜在的なユーザーも読者として想定している
特に私が気になったのは3番の見出しである「ツールを使うことによるメリットデメリット」です。
ツールの比較記事であるにもかかわらず、ツールの使用すること自体に関する記述があるのはかなり特徴的だと感じました。
なぜなら、ツールの使用すること自体の説明って、すでにツールを使うと決めている人にとっては本来不要ですよね。
この記述から、「どのツールを使うか迷っているユーザー」だけでなく、「そもそもツールを使うか迷っているユーザー」、つまり知識が全くない潜在的なユーザーに向けても記事を書いていることがわかります。
かなり邪推になりますが、潜在的なユーザーを読者として想定する理由は『よくわからないけど、とりあえず勧めてるツールを使ってみよう』というパターンを増やしたいからだと思います。
特徴③前提知識の内容があたり前のことしか書いていない
特徴①で説明しましたように、記事の見出しが不自然な順番になっている理由は「メインコンテンツである『おすすめツール紹介』をユーザーがページを離脱する前に見てほしいから」な可能性が高いです。
それだけだと戦略的で評価できるのですが、前提知識に関する記述の内容が薄すぎます。
対象記事の「ツールの選定ポイント」や「ツールを使うことのメリットデメリット」の見出しを上の順番にするとページから離脱するユーザーはかなり多いと思います。
それくらい不要といってもいいくらいの情報しか書いてありません。
例えば、選定ポイントの見出しに書かれていることの一つに
- 目的に合ったツールを選ぶようにしよう
ということが書かれています。
これだけ言われても正直、「言ってないのと同じじゃないか」と思いました。
比較サイトであるならば、目的に合ったツールかどうかをわかりやすく比較するべきだと思うのですが、そういった内容はありませんでした。
他のポイントも同様に、当たり前のことしか言っていない内容ばかりした。
「情報が浅い」という印象を抱く理由は「前提知識の見出しに当たり前のことしか書いていないから」なんだと感じました。
その他の特徴:読者ごとのニーズが違うという意識がない
「日本語ユーザーが内容の薄い情報を求めているから」というメインの結論とは関係ないですが、おもしろい思った特徴があります。
それは「読者ごとのニーズが違うという意識がない」ということです。
おすすめツール紹介でおすすめしているツールの根拠として
- 「何十万人が使用している」
- 「大企業も多数使用」
などといったことが使用されています。
上記の根拠は、ツールの信頼性を測るために一定の意味があるのは確かです。
しかし、それだけの根拠ではあまりにも不十分です。
「読者それぞれにあったニーズがある」という意識があれば、信頼性だけでなく、機能性や審美性といった中身の特養も根拠におすすめすると思います。
この特徴から私は、日本人の特徴としてよく言われる
- 「みんながやってるから安心」
- 「有名人のやることは基本的に正しい」
といった心理が読み取れました。
最後に
今回は『日本語ユーザーが内容の薄い情報を求めている』と判断した根拠である日本語記事の分析結果を紹介しました。
答えだけをもとめるなら、日本語の記事はわかりやすいことが多いです。
一方で、「より深く知りたい」とか「なぜその答えになるのか知りたい」といった知的好奇心旺盛な方は不満に感じることが多いかと思います。
この特徴を知ることで、みなさまがGoogle検索と仲良く生活を過ごせるように祈っております。
最後までお読みいただきありがとうございました。